イケムラレイコ a.ï.r.e

Black Forest, 2013/14, tempera on jute, 100 x 150 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2021. / Photo: Jörg von Bruchhausen.

ギャラリー・カールステン・グレーヴェ(ケルン、ドイツ)にてイケムラレイコの新たな個展が開催されます。

オープニング:2021年11月5日(金)、午前11時〜午後8時
※イケムラレイコ参加予定

 

ギャラリー・カールステン・グレーヴェは、アートケルン2021にあわせて、ケルンで個展「イケムラレイコ a.ï.r.e」を開催いたします。イケムラレイコとギャラリー・カールステン・グレーヴェのコラボレーションは当時ケルンのヴァルラフ広場にあったギャラリーで行われた1987年の個展から始まりました。イケムラレイコはまさに異例のアーティストであり、初の個展以来カールステン・グレーヴェでは彼女の個展が20回開催されたほか、ケルン、パリ、かつてギャラリーのあったミラノ、そして1999年以降はサンモリッツとカールステン・グレーヴェのすべてのギャラリーで、絵画、彫刻、ドローイング、写真を含む、まごうことのない彼女の作品が定期的に発表されてきました。

今回の展覧会は、イケムラレイコの芸術作品の新たな段階を示すものです。展示されるのは過去8年間に制作された約20点の絵画、2018年に制作された10点の水彩画、そして2020年に制作された写真作品です。 形式的にも内容的にも、境界を越えていくということが展覧会のテーマとなっています。
「今、私がやろうとしているのは、私たちが国境を越えていくこと、絵のなかへ、別の世界へと入っていくことです」とイケムラは言います。地平線や宇宙的風景を描いた絵はイケムラレイコの作品に特徴的なものであり、一本の線のように作品を貫いています。最新作においてそれらはほどけ、新しく抽象的なかたちへと変化しています。作品の持つ深みは見る者に自由な想像力を与えてくれます。

イケムラレイコの芸術的なインスピレーションの源は彼女が歩んできた道のりから見つけ出すことができるでしょう。彼女が選んだ展覧会タイトル「a.ï.r.e」は空気を意味するスペイン語ですが、これはイケムラがスペインで芸術家として最初の一歩を踏み出したことへ立ち戻っているとも言えます。スペインでイケムラは世界的に有名な画家やイベリア半島の中世美術の遺産から多くを学び、また初めてグレーズ技法のテンペラを試したのもスペインでのことでした。 「自然なまま」の質感を持つジュートやキャンバスを絵画の素地として意図的に選択することからすでに彼女の芸術的創造は始まっています。表面に現れ出る素地の織目が絵画の構図のなかの要素と出会い、―その際テンペラはごく薄く希釈され、表面を覆うグレーズとなっています―緊張感に満ちた関係性が構築されます。また、イケムラレイコは遊び心にあふれる「a.ï.r.e」という言葉で絵を写し取ってみせています。「新作のひとつに『Air』というタイトルをつけました…でもこの英語は私の感覚に完全にはぴったり来ていませんでした。最近の私の絵のなかでは要素がばらばらになっていたり、点線が描かれることが多くて、それで点が2つある『aïre』を考えました。そして、全体を遊びのような気持ちで見ていたら、点がたくさん入った『a.ï.r.e』を思いついたのです。作品はタイトルのなかにいます。タイトル自体が私の最新作の一つのようなものです…」。

今回の展覧会でもイケムラレイコの作品は次元を超越しています。陶製の新作と「Butterfly out of Face」(2021年)と「Usagi with Wings」(2021年)のガラス彫刻が今回展示されます。ガラスの2点は彫刻ならではの重厚感に透明感や透光性が加わり、彫刻の新たな側面を見せてくれています。また、ブロンズ彫刻の「うさぎ観音」(2012~17年)は5体制作されたブロンズ小品の5番めにあたり、緑青や彩色によって驚くべき独創性を得ています。このハイブリッドな生物は直立した長い耳を持ち、土台部分となる大きなスカートは前方が開いています。このかたちはキリスト教における守護マントの聖母に引き比べることもできるでしょう。有名作である「うさぎ観音」と新作を通して、イケムラレイコが独自に生み出した日本文化と西欧文化の融合をぜひご覧ください。

出典:ギャラリー・カールステン・グレーヴェプレスリリース

 

Galerie Karsten Greve Köln(ギャラリー・カールステン・グレーヴェ、ケルン)
Drususgasse 1-5
50667 Cologne
galerie-karsten-greve.com/ueber-uns