イケムラレイコ 私たちはここにいる

"Leiko Ikemura. AQUÍ ESTAMOS / HERE WE ARE", Puerto Banús, 2022 © Leiko Ikemura and VG Bildkunst, 2022 / Photo: Stefano Tiracchia, 2022.

バレンシア芸術科学都市(Ciutat de les Arts i les Ciències de Valencia)では、日本人美術家イケムラレイコの彫刻作品の展示としてはこれまでで最も重要なものとなる国際的な展覧会「私たちはここにいる(Aquí estamos)」が開催されました。これらの彫刻作品は、地中海、ヨットの停留する港に立つ伝統的な管制塔、ドックに泊まる大型ヨット、そして遠くに望むシエラ・ブランカといった環境に恵まれたプエルト・バヌスにおいてさらにその意味合いを強めています。来訪者は調和しあう芸術と自然を楽しみながら、彫刻作品が発する慈悲深さ、共感、夢想といったメッセージを受け取ることでしょう。

日本人美術家イケムラレイコによる本展には精神性と共感とが均衡する6つの彫刻作品が出品されます。イケムラの最も重要な彫刻作品展である「私たちはここにいる」展は入場料無料でご覧いただけるオープンエアでの展示であり、芸術と文化が空間を同じくし手を結びあうものとなっています。

色彩豊かなパティナに彩られた6体のブロンズ彫刻は豪華なヨットハーバーで展示されます。うさぎグリーティング、3羽の鳥を抱く像、ダブル・フィギュア、横たわる猫少女、横たわる少女、うさぎと猫少女の6作品です。作者のイケムラは2021年にドイツ批評家賞を受賞しています。

バレンシア芸術科学都市とプエルト・バヌスはイケムラ作品の借用を機に再びコラボレーションを果たしました。初回はベルギー人美術家アーネ・キャーンズによる「マイ・シークレット・ガーデン」であり、バレンシア芸術科学都市はこういった取り組みを通じて他の都市や公共機関に芸術を届け、芸術に親しむ機会を与えています。

花のまんなかのような、ふんわりとした子供の美しさ。イケムラレイコによる本展に出品される作品は、成長の渦中で遠くの世界を夢見ている子供の姿でかたち作られた花のようです。例えばうさぎグリーティングですが、うさぎの頭部と人間の身体幹部で表されたこの彫刻の内部は空洞となっています。すべての子供をこの世界からかくまってくれ、生まれる前へと戻るかのように母親が守ってくれる場所になっています。

「私たちはここにいる」展は普遍的な視点や女性性といった観点がもたらす精神性についてあらためて考える機会を与えてくれるでしょう。ここは像たちが温かく迎えてくれる神殿、すべてを受けいれるという哲学のもと、この世に生まれ出たすべての者、生まれてこようとするすべての者は、母性そして様々な生き物によって抱擁されるのです。異なる文化の境界を越え、ヨーロッパ文化と東洋の文化それぞれの特徴が結びつけられます。

日本人美術家による本展は人間と自然があるハイブリッドな存在へと溶け合うことをよしとし、テーマとしています。そこでは他者であることとシンパシー、疎遠であることと親密であることが同時に呼び起こされます。シンボルとなっているのは幼いころからの女性への称賛と、人種や肌の色、アイデンティティといったことで制限されることなく全ての者が等しく扱われてほしいという大いなる望みなのです。

本展はマルベーリャ市、バレンシア芸術文化都市、イケムラ・ファウンデーション(ベルリン)の協力を得て開催されます。

出典:プエルト・バヌス

 

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