イケムラレイコ うさぎ観音

Usagi Kannon, 2012/20, patinated bronze, 340 x 159 x 138 cm © Leiko Ikemura and VG Bildkunst, 2022. / Photo: Suzanne Ophof, Museum Singer Laren, 2022.

シンガー・ラーレンではナルディン・ホールの新規オープンに向けて準備中

新しく完成するシンガー・ラーレンのナルディン・ホールでは「ヤン・スライターと現代」展に向けて急ピッチで準備を行っています。それだけではありません。正面入口前の広場でもベアトリクス王女による3月8日の公式オープンに向けて急ぎ準備を進めています。本日より美術家イケムラレイコの堂々たるブロンズ彫刻が広場へお越しになる来訪者や通行人の皆様をお出迎えします。

アートザウトとのコラボレーション

イケムラレイコの彫刻「うさぎ観音」(2012/20)は福島での原発事故を契機につくられました。この事故により大きく被害を受けたのは人間のみならず、動物にも及んでいます。本彫刻作品は半分人間・半分動物のハイブリッドな母の像であり、その頬にはぽろぽろと涙がこぼれています。あえて弱さを隠さず感情をあらわにする一方で、強くあり続け、生きていくことに疲れた者を保護してくれる存在でもあります。いかに大きな災いが起ころうとも、いつもそばにいてくれるのです。うさぎ観音のスカートのなかには人が隠れることができるようになっており、そこで子供に返ったような気持ちになれることでしょう。

「この感動的な彫刻作品が設置されることになったのは、オランダの彫刻ビエンナーレであるアートザウトとの新たな共同事業によるものです。彫刻を1年半ほどのあいだ見てもらうことができるよう、シンガー・ラーレンの正面広場での彫刻展示計画をアートザウトとともに進めてきました」とシンガー・ラーレンの総合館長であるエヴァート・ファン・オスは語っています。

キキ・ファン・アイクとヨースト・ファン・ブレイスウェイクが手がけた4台のベンチ

イケムラレイコの彫刻をゆったりと楽しめるよう、そしてシンガー・ラーレンへの来場を楽しんでもらえるよう、一流デザイナーのキキ・ファン・アイクとヨースト・ファン・ブレイスウェイクによるベンチが4台、近日正面広場に設置されます。このデザイナー・デュオにベンチの制作を依頼したのはシンガー・ラーレンと建設会社Heilijgersです。ベンチはコンクリートを扱う3Dプリンターで形成されており、線と線がエレガントに組み合わさる様子は、太く描かれた数本の線から立ち現れるスケッチのようです。「ラーレンには長らく活発な芸術家コミュニティがあります。そこでは実験的な創作やスケッチ、柔軟な思考といったものが大事にされてきました。このスケッチ的な思考が生み出す美しさを今回のシンガー・ラーレンのベンチに結実させたいと思ったのです」とキキ・ファン・アイクとヨースト・ファン・ブレイスウェイクは語っています。

 

出典:シンガー・ラーレン美術館 & プレスリリース

 

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