日本マニア ― 日本の現代美術

Tree, 2013/14, tempera on jute, 60 x 50 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2022.

「日本マニア(NIPPON MANIA)」展において当館では日本美術の現在に焦点を当てます。ヨーロッパ中心主義的な視点からは未だステレオタイプで見られることの多い日本美術ですが、日本人のメンタリティーを深く理解し、行動規範や精妙に発達したノンバーバル・コミュニケーションを正確に理解することはヨーロッパの人間にとって非常に難しいことです。地球の半分のこちら側で育った多くの人にとって日本人の思考や感覚は一生謎のままでしょう。そして、日本文化を見通せないままに言い表そうとすることばが全て失敗したとき、西洋の観察者のもとに東洋の「スピリチュアリティ」というあいまいなイメージが登場するのです。このことばを使えば少しでも極東の異国情緒や形而上学的と思えるものなら都合よく言い表せてしまうのですから。それが繊細な感覚に基づく茶道の美学であろうと、少しならず不思議に見える現在の日本美術であろうと。

日本美術の特徴として漆塗りの完璧なまでの滑らかさとデザイン性、本質の部分にミニマリズムがあること、ストイックなシンプルさ、過度なまでの美的感覚、そして社会的な要請から自由であることなどが挙げられますが、本展の試みはそのうちのどれが実際に当てはまっているのかを掘り下げることです。このようなステレオタイプが失敗に終わるとき、どこで亀裂や摩擦が起こるのかを示し、幅広く視点を提供したいというのがクンストハウス・カウフボイレンでの本展の目的です。外国の影響を受け入れてきた歴史のある日本では、現在も息づく文化遺産とハイテク社会を目指すイノベーションの大きな動きとが結び合っているからです。日本の芸術・文化におけるこのような特異な共生関係は最終的には、バーチャルな物事がリアリティと力を増す世界でいかにアイデンティティを保つのかという、極めて現代的な時事問題へとたどり着くのです。

出展作家:荒木経惟、早川克己、イケムラレイコ、泉桐子、伊東啓一、川人綾、木下遼、草間彌生、桑原盛行、水元かよこ、定兼恵子、サガキケイタ、白井里実、杉本博司、横野健一

出典:クンストハウス・カウフボイレン

 

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