うさぎ観音

Usagi Kannon, 2012/19, patinated bronze, ca. 340 x 159 x 138 cm © Leiko Ikemura, VG Bild-Kunst Bonn 2021. / Photo: Sainsbury Centre.

たいへん喜ばしいことに、日本人・スイス人美術家イケムラレイコによる壮厳なブロンズ像が、拡大を続ける彫刻庭園の最新作品として公開されることになりました。

「慈愛のうさぎ菩薩」の意味を持つうさぎ観音はうさぎの耳と人間の顔を持つ巨大な像です。うさぎはイケムラの作品に繰り返し登場する重要なモチーフであり、再生、豊穣、再生を象徴しています。このハイブリッドなキャラクターが初めて制作されたのは2011年であり、福島での原発事故と、それにともなって動物の先天性異常が見つかったとの報道を受けたものです。泣き顔で悲しみにくれる本作は、この悲劇で亡くなり被害を受けた生きとし生けるものに捧げられています。

うさぎ観音のスカートは鐘のかたちをしたシェルターのようでもあり、保護してくれる祠の役割を果たしています。スカートのなかには小さな穴から星のような光が差し、鑑賞者を包み込む宇宙のように見えます。

セインズベリーセンターと彫刻庭園はイースト・アングリア大学の敷地内に位置していますが、ここにあるウサギのコロニーは最も長く研究されているものです。うさぎ観音は当地の自然環境や生物多様性と相互に作用する芸術作品の最新例とも言えるでしょう。

出典:セインズベリーセンター

 

Sainsbury Centre(セインズベリーセンター)
University of East Anglia,
Norfolk Road, Norwich NR4 7TJ
tel. 01603 593199
https://www.sainsburycentre.ac.uk