バックステージ・エンゲルベルク

Exhibition view at Backstage Engelberg 2024 / Photo: Backstage Engelberg / Work: Usagi Greeting (440), 1991/93, patinated bronze, 448 x 245 x 245 cm. © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2024.

出展作家:Artists: Heinz Aeschlimann (* 1947, Schweiz) / Judith Albert (*1969, Schweiz) / Can Altay (*1975, Türkei) / Francis Alÿs (*1959, Belgien) / Cristian Andersen (*1974, Schweiz) / Nina Meret Ates (Schweiz) / Mirko Baselgia (*1982, Schweiz) / Marc Bauer (*1975, Schweiz) / Anselm Baumann (*1958, Deutschland) / April Bey (*1987, Bahamas) / Armin Boehm (*1972, Deutschland) / Daniele Buetti (*1955, Schweiz) / Los Carpinteros (gegründet 1992, Kuba) / Maria Ceppi (*1963, Schweiz) / Danielle Creme (Israel/Schweiz) / Katalin Deér (*1965, USA/Schweiz/Deutschland) / Andriu Deplazes (*1993, Schweiz/Frankreich) / Johanna Dobrusskin (*1996, Schweiz) / Valérie Favre (*1959, Schweiz) / Clare Goodwin (*1973, England/Schweiz) / Séverin Guelpa (*1974, Schweiz) / Jürg Halter (*1980, Schweiz) / Christoph Hänsli (*1963, Schweiz) / Jochem Hendricks (*1959, Deutschland) / イケムラレイコ (*1951, Japan) / İdil İlkin (Türkei) / Melli Ink (* 1972, Österreich/Schweiz) / Monica Ursina Jaeger (*1974, Schweiz) / Bruno Jakob (*1954, Schweiz/USA) / Christian Jankowski (*1968, Deutschland) / Sven-Åke Johansson (*1943, Schweden/Deutschland) / Renata Kaminska (*1974, Polen/Deutschland) / Sabine Kuehnle (*1968, Deutschland) / Sonia Leimer (*1977, Italien/Österreich) / Zilla Leutenegger (*1968, Schweiz) / Peter Loewy (*1951, Israel/Deutschland) / Ingeborg Lüscher (*1936, Deutschland/Schweiz) / Angela Lyn (*1955, England/Schweiz) / Fabian Marti (*1979, Schweiz/Frankreich) / Jos Näpflin (*1950, Schweiz) / Olaf Nicolai (*1962, Deutschland) / Eva Nielsen (*1982, Frankreich) / Adrian Paci (*1969, Albanien/Italien) / Yehudit Sasportas (*1969, Israel) / Grace Schwindt (*1979, Deutschland/England) / Shirana Shahbazi (*1974, Iran/Schweiz) / Annelies Štrba (*1947, Schweiz) / Una Szeemann (*1975, Schweiz) / Ebru Uygun (*1974, Türkei) / Ester Vonplon (*1980, Schweiz) / Nives Widauer (* 1965, Schweiz/Österreich) / Uwe Wittwer (*1954, Schweiz) / Ekrem Yalçındağ (*1964, Türkei/Deutschland)

バックステージ・エンゲルベルク、それはエンゲルベルクのコミュニティ、偉大なる自然、そして芸術が持つ唯一無二の力への愛の宣言です。

絵画、写真、オブジェ、彫刻、ドローイング、インスタレーション、音響作品、動画作品......17カ国から53人のアーティストがチューリッヒのキュレーター、ドロテア・シュトラウスに招かれ、エンゲルベルクの21カ所で作品を展示します。彼らの作品は非常に現代的な問題、例えば気候変動、持続可能性、社会・政治の爆発的な発展などを扱っているだけではありません。実力主義社会の中で私たちはどのように自己のアイデンティティを見出せばいいのか? どうやって精神のバランスをとればいいのか? どうすれば未来を切り開くことができるのか? といった、私たちひとりひとりにかかわってくる問いにも触れています。

21のさまざまなロケーションが村全体を巡るツアーへと来訪者を誘います。寄り道をしながら「世界の果て」へと向かうように......。

作品は一般の人々が普段目にすることのない場所に主に展示されています。かつての靴職人の家、今は使われることのないホテル・エンゲルベルクのボーリング場、ホテル・ベンクリアルプの氷を用いた歴史的な貯蔵庫、ホテル・ベルビュー・テルミヌスの屋根裏部屋、ホテル・テラスの「秘密の」部屋、元肉屋などです。

倉庫として使われたりしていた、印象的な古い納屋や厩舎にも作品が展示されます。例えばエンゲルベルク修道院からほど近いオクセンマットの家などです。プフィスターマッテのプフィスターヒュスリー、ホテル・ケンピンスキー・パレス・エンゲルベルク、クアパーク、ドルフ通り、ホテル・ホーエネック、エンゲルベルク・スキーロッジのパビリオン、ホテル・ザンクト・ヨーゼフスハウス(修道院の宿坊)のフォンデュ・ゲデリ、ヴィクトリア・ゲルトリ、そして中心部に位置するタール博物館でも作品を見ることができます。そしてある作品が観客を「世界の果て」へと連れて行ってくれるでしょう。21のさまざまなロケーションが、観客を村全体を巡るツアーへと誘います。

「展示場所が持つ魔法が魅力的な舞台を作り出しています」とドロテア・シュトラウスは言います。彼女は著名なキュレーターであり、すでに数多くの大規模な国際展を実現させてきました。「アートと関わることで私たちは好奇心を持ち続け、皮相の下にある現実を発見することができるのです」。出展作品の多くはこの展覧会のために特別に用意されたものです。「特に社会全体が不安定で激動しているような時代には、好奇心や発見の精神、共同体意識を持ち、変化を喜ぶための余白を持っておくことが大事です。この展覧会はアーティストたちが現代の現実にどのように反応しているかを印象的な方法で示すものです。彼らの作品は、知性を刺激し感情を揺さぶることで、世界を認識する私たちの感覚をシャープなものにしてくれます。人々を目覚めさせ、互いに対話させてくれる、それこそが芸術が持つ唯一無二の力です。」

エンゲルベルクが芸術の場に――そして芸術研究の対象に
本展に招かれた約20名の芸術家がこの展覧会のために新作を制作しました。その一部を紹介しましょう。チューリッヒを拠点に活動するアーティスト、モニカ・ウルシナ・イェーガーは、オクセンマットの家に展示されるインスタレーション「ガーディアンの森」で、人間と自然の関係に焦点を当てています。彼女はエンゲルベルク高地の渓谷を調査しており、これが保護林の重要性に詩的に取り組んだ作品の基礎となりました。もうひとつの例は、国際的に有名なアーティスト、オラフ・ニコライによる空間インスタレーションです。1996年に靴職人のエミール・ヴァーザーがその扉を閉じた工房が、以来変わらぬままエンゲルベルク中心部にあります。画像と音響を用いたニコライの作品に誘われ、訪問者はこのユニークなタイムカプセルを発見することになるでしょう。チューリッヒ在住のアーティスト、ツィラ・ロイテネッガー(本展の数カ所で新作を発表しています)は初めてこの地を訪れた際、タール博物館にある紡錘車に目が留まり、「糸紡ぎの女性」の制作につながりました。少し開いた扉の隙間から、回転する紡錘車の影だけが見えます。おとぎ話、ファンタジー、伝説、そして知りたいと思う私たちの好奇心......ロイテネガーは、この詩的なインスタレーションで、まったく異なる共鳴空間を結びつけています。

イスタンブールのアーティスト、エブル・ウイグンは、バックステージ・エンゲルベルクの展覧会テーマに触発され、新しい絵画シリーズを制作しました。特殊な折り畳み技法を用い、長い時間をかけて何層にも塗り重ねられた絵画は、まさに魔法のように魅力的な、色彩のぎゅっと詰まった世界です。マルセイユ在住のアーティスト、アンドリュー・デプレーズは、エンゲルベルクの観光の歴史を集中的に研究しました。彼の新しい絵画と彫刻の作品群は、見る者をアンビバレントで不吉な予感に満ちたミステリアスな世界へと誘います。フランクフルトのアーティスト、アンゼルム・バウマンは、ホテル・ケンピンスキー・パレスのロビーのために、花瓶と彫刻の中間のような魅力的なオブジェを制作しました。

イスタンブールとデュッセルドルフを拠点にしているアーティスト、エクレム・ヤルジンダーは、旗を使ってドルフ通りを色彩の海に変えます。チューリッヒ在住のアーティスト、メッリ・インクは、新作「アルパイン・ハーブ・ミックス(癒しの9種と毒の1種)」で、アザミやスイバといった地元の植物を使い、フランドル絵画を彷彿とさせる静物画を描いています。また、ティチーノとチューリッヒに住むアーティスト、ウナ・スツェーマンは、オクゼンマット・ガダで張り子で作られた天使を発見し、それをヒントに新しいネオン作品を制作しました。

新作でなくとも、特別に選びだされた展示場所で新たなスポットライトを浴びる作品もあります。ホテル・ホーエネックの談話室であれば、フランシス・アリスによって今も制作が続く映像作品「Children's Games」が特に重要な意味を持つものとして挙げられるでしょう。そのなかのひとつ「Snow Games」は、国際的に有名なアーティストであるアリスが、2022年にエンゲルベルクで収録したものです。一方、エスター・フォンプロンの描く濃密な雰囲気の絵画は歴史的な氷の貯蔵庫で展示されており、観客を北極圏とグラウビュンデンへ誘います。彼女の絵画が誘う旅はどこかメランコリックで、気候変動が今やあらゆるところに到達していることを印象的に示しています。

エンゲルベルクがあなたをご招待します!
バックステージ・エンゲルベルクは、エンゲルベルク市との密接な連携のもとに設立されました。地域市民のコミュニティ、エンゲルベルク・ティトリス観光社、オブヴァルデン州、多くの財団、地元企業、エンゲルベルク出身の著名人などから多大な支援を受けています。2ヶ月にわたる展覧会が目指すのは、スイス国内外から世代を超えた幅広い観客を、この芸術的発見の旅に招待することです。入場無料。

展示される芸術作品が私たちに教えてくれるのは、驚きを忘れないこと、そして予期せぬことにも心を開いていること。

展覧会のタイトル「バックステージ・エンゲルベルク」には、私たちは表面的なことだけにとらわれず、それがエンゲルベルクであろうと世界のどこであろうと、目の前にいる人たちや環境、そして地球のために力強く立ち上がろうというポジティブな思いを込めています。バックステージ・エンゲルベルクは連帯することの意義を肯定します。

観覧可能日時:
木曜日~金曜日 午後1時から5時
土曜日~日曜日、午後1時から6時
展示場所はチラシ(PDF)をご覧ください

出典:バックステージ・エンゲルベルク

 

 

Verein Backstage Engelberg(バックステージ・エンゲルベルク協会)
Zahnradstrasse 21
8005 Zürich
Switzerland

info@BackstageEngelberg.ch
https://www.backstageengelberg.ch/