Flash 1979/1988

Exhibition view, 2018, Hara Museum ARC. Untitled, 1988, Chalk on paper, 79 x 59.5 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2021. Untitled, 1988, Pastel and chalk on paper, 79 x 59.3 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2021. Untitled, 1988, Chalk on paper, 79 x 59.5 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2021. Untitled, 1988, Pastel and chalk on paper, 79 x 59.5 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2021.

ハラ ミュージアム アークは創設30周年を迎えました
1979年、全国的な美術館設立ブームに先駆けて、原美術館(東京都品川区)は創設されました。その別館としてハラ ミュージアム アーク(群馬県渋川市)が開館したのは1988年、元号が昭和から平成へと変わる前年、いまから30年前のことでした。本展では、このふたつの年にスポットを当て、両年に生み出された作品の数々を、原美術館コレクションより展観いたします。

1979 年、原美術館の歴史とともに歩んできた作品たち
原美術館は、当時、日本では稀有な私立の現代美術専門館として、1979 年、東京都品川区の閑静な住宅街に開 館しました。1938 年建造の、モダニズム建築のスタイルを取り入れた個人邸宅(設計:渡辺仁)を再生した独 特の空間で、同時代の先端のアートに出会う場を目指し、さまざまな企画展、イベント、教育普及プログラムを 開催し、国際交流を推進してきました。 開館当時は、第二次オイルショックにより高度成長が終焉を迎え、人々の価値観が「物質的な豊かさ」から「精 神的なゆとり」へとシフトしてゆく過渡期にあたります。美術の分野では、コンセプチュアルな作品への志向が 強まり、60 年代に興隆したミニマルアートや、李 禹煥に代表される「もの派」の芸術活動は、70 年代の隆盛を 経て、「ポストもの派」や「ニューウェーブ」と称される動向へと展開してゆきました。 また、絵画や彫刻の概念が拡張して いったこの時期、環境問題への関心 と相まって、屋外での大規模なイン スタレーション作品も生まれるよう になりました。例えばクリストとパ ートナーのジャンヌ=クロードは、 海岸線などの自然の地形や、橋など の公共建造物を布で覆う大型のプロ ジェクトを次々と成功させています。

1988 年、ハラ ミュージアム アーク開館の年に制作された作品群
ハラ ミュージアム アークは、時代の変遷とともに多様化してゆく表現形態に対応し、大型の企画展の開催や原 美術館コレクションを展示するための場として、1988 年、群馬県渋川市に誕生しました(設計:磯崎新)。2008 年には特別展示室 觀海庵を増築し、古美術と現代美術の取り合わせといった、新たな美の可能性を追求していま す。 30 年前の日本はバブル絶頂期、翌1989 年には昭和から平成へ元号が変わるなど、大きな変革の渦中にありまし た。また同時期のベルリンの壁の崩壊は、世界に大きな衝撃を与えています。このような不安定な社会情勢と、 その反面にある好景気の後押しもあり、美術の分野では、それまで主流だった禁欲的で観念的なコンセプチュア ルアートに反動する形で新表現主義が台頭してゆきました。例えばドイツ出身のアンゼルム キーファーは、古代 神話、宗教、ナチスドイツといった自国の歴史に主題を求める作品を多く発表し、その代表と目されています。 また、ルイーズ ニーヴェルスンは、はじめは絵画を学びましたが、 次第に木製の廃材を寄せ集めた立体を黒や金などの一色で全体を塗 装したレリーフ状の作品へとスタイルを変化させてゆきます。色彩 や感情豊かな具象絵画の再生同様、表現の多様化の傾向は世界各国 で同時発生的に起こり、国境や文化の違いを越えて影響しあい広ま ってゆきました。

出品作家:アンゼルム キーファー/イケムラレイコ/オノサトトシノブ/大竹伸朗/操上和美/クリスト/トム ウェッセルマン/野田裕示/フラビオ シロー/真木智子/宮島達男/黎志文/李禹煥/ルイーズ ニーヴェルスン など

長期展示:草間彌生/束芋

長期展示・常設展示を除き、30人の作家による約40作品が展示されます。

開館時間

9:30 am – 4:30 pm(入館は4:00 pmまで)

休館日

木曜日(1月3日は開館)、12月4日‐7日、12月11日‐14日、1月1日

出典:原美術館 ARCプレスリリース

 

 

原美術館 ARC

377-0027
群馬県渋川市金井 2855-1
tel. 0279-24-6585
fax. 0279-24-0449
https://www.haramuseum.or.jp/en/arc/