イケムラレイコ アニマ・アルマ 1981年~2022年の作品より

Untitled, 1986, oil on canvas, 200 x 180 cm. © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2022./ Photo: Lothar Schnepf.

ファーガス・マカフリーは満を持して画家・彫刻家イケムラレイコの作品を紹介する展覧会を開催します。日本生まれでベルリンを拠点に活動するイケムラの作品は観る者を魅きつけ、ときに不安にさせる力を持っています。ヨーロッパとアジアで50年にわたるキャリアを築き高い評価を得ている作家ですが、注目すべきことにはニューヨークでの個展は今回が初めてとなります。

11月4日から始まるこの展覧会で展示されるのは1981年から2022年の間に制作されたペインティング、紙に制作された作品、陶器やガラスの彫刻作品40点です。これらの作品はギャラリーの2フロアにわたって展示されます。同日午後6時から8時に行われるオープニングレセプションには作家も出席します。

イケムラは1972年に日本を出たのちスペインのセビリアで美術を学び、その後1979年にスイスへ移り、1991年にドイツに拠点を定めました。ヨーロッパで活躍するマルレーネ・デュマス(1953年生まれ)やミリアム・カーン(1949年生まれ)と同様に、イケムラも具象美術の古くからの正統である油絵の具を用い、社会正義、エコロジー、古代の物語、高尚的なものなど、現代的な問題に取り組んでいます。

1階では1980年代初頭からイケムラの制作の中心となってきた女性を描いた作品を展示します。ここで展示される初期のペインティング、パステル画、ドローイングからは、イケムラのスタイルのルーツに表現主義が根強く横たわっていることや、スイスやドイツで高い評価を得た、題材へのアプローチの方法が見てとれます。1990年代初頭には、荒い土を手でこねあげて色とりどりの釉をかけ窯で焼くという、陶磁器の彫刻を追求していきます。日本の埴輪や西洋の中世彫刻を思わせるこれらの作品群は、切り込みの入った無骨なかたちの頭部や胴体や住居であったりシンボリックなかたちを持っており、イケムラの初期作品が持つ精神そのままに直接さや生々しい生命力を体現し続けています。その一方でペインティングにも変化が起きるのがこのころです。

時期を同じくしてイケムラが制作し始めた「少女」と呼ばれる新しい作品群は、イケムラのスタイルが明確に進化したことを表しています。これらの作品は、日本のマンガや「かわいい」を押し出したカルチャー、日本の美術において、女性が受動的で声なき者として幼稚に表現されることに対するそれとない批判であると言えます。少女シリーズには新しい色調、技法、素材が用いられています。マゼンタ、ラピス、バイオレット、タンジェリン、レモン、アプリコットなどの輝くような色彩が濃淡のコントラストをつけて流れ込む先は、アンバー、チョコレート、黒檀といった濃厚な色を下地に塗った、半透明の麻布のキャンバスです。ペインティングは対決を挑むような等身大サイズでありつつ微妙なニュアンスを持ち、高揚感と共感を呼び起こします。魅きつけるような見た目とは裏腹に複雑さや内面に横たわる闇や心理的な深みを表しており、イケムラは芸術における崇高さを臆することなく追求していると言えるでしょう。少女シリーズには色彩的な類似性や感情的な共鳴という点で、エミール・ノルデやマーク・ロスコといったさまざまな画家と共通する部分があります。

ギャラリー上階に展示される巨大なパノラマ画には、ターコイズ、オーカー、クリムゾン、チャコールの鮮やかな色合いで、霧に煙る湖や山の風景のなかに人物がぼんやりと描かれています。これら4点のペインティングの横にはイケムラの新作である半透明の色つきガラスの彫刻が展示されます。これらの作品にドイツ・ロマン主義の伝統を見出すことができるかもしれませんが、イケムラが日本神道の聖地である三重県の伊勢神宮の近隣で育ったことを頭に入れておく必要があるでしょう。イケムラは「時間や国境、性別を超えてゆく宇宙というもの、そして女性や自然が持つ傷つきやすさと強さとを描き出したい」と述べています。ガラスの持つ透明さとイケムラの筆づかいに見られる軽やかで霊妙な透明感は、存在と非存在、有機物と無機物の区別が曖昧であることを強調するようです。そこには神道のアニミズムと日本の偉大な思想家・西田幾多郎の仏教思想が反映されています。

イケムラレイコの美術館での主な個展:ボン芸術協会(1983)、バーゼル市立現代美術館(1987)、ローザンヌ州立美術館(1988、2002)、東京ビエンナーレ(1988)、ハガティ美術館(ミルウォーキー、1999)、モラート・インスティテュート(フライブルク、2000)、メルボルンビエンナーレ(1999)、豊田市美術館(2000)、リヒテンシュタイン美術館(ファドゥーツ、2002)、レックリングハウゼン美術館(2004、2019)、ウルム美術館(2005)、コロンバ美術館(ケルン、2005、2012)、ボン芸術協会(2006)、ヴァンジ彫刻庭園美術館(三島、2006、2014)、ランゲン財団(ノイス、2007)、アラーハイリゲン美術館(シャフハウゼン、2008)、ザウアーラント・アルンスベルク美術館(2010)、東京国立近代美術館(2011)、ベルリン国立博物館アジア美術館(2012、2022)、カールスルーエ国立美術館(2013)、ニュルンベルク国立美術館(2014)、シンクレアハウス美術館(バート・ホンブルク、2014)、ケルン東アジア美術館(2015)、ネヴァダ美術館(リノ、2016)。国立新美術館(東京、2019)、バーゼル美術館(2019)、セインズベリー視覚芸術センター(ノリッジ、2021)、北欧水彩画美術館(シェールハムン、2019)、カハ・デ・ブルゴス芸術センター(2019)、ベルリン・ラインベックハレン財団(2021)、CAC バレンシア芸術科学都市(2021)、ヘルベルト・ゲリッシュ財団(ノイミュンスター、2022)

2023年には、ベルリンのゲオルク・コルベ美術館、メキシコ・グアダラハラのサポパン美術館での個展が予定されています。

当ギャラリーの本展はこの先見性のある作家の作品にアメリカの観客がより親しむことができる機会となっています。
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出典:ファーガス・マカフリープレスリリース

 

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