イケムラレイコ さらなる明日へ

Sinus Woman, 2018, tempera on jute, 100 x 150 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2021. / Photo: Jörg von Bruchhausen.

私たち自身は、そして私たちが属する自然と絡み合うなかで私たちが人間であるための条件はいかに変容可能なのか。それとともに可塑的かつ論証的な価値を持つ女性性を回復すること。イケムラレイコが近年発表してきた作品はそのように定義できるでしょう。イケムラ自身が指摘しているように、ハイブリッドな形態を持つ作品は陶器・ブロンズ・顔料といった地球に近しい素材が使用されており、生命であるという点で等しい存在であることが強調されています。人は木に姿を変え、植物の組織は擬人化され、動物は草の属性と交錯している―そんな異種間の境界線に再考を促すような世界が語られます。

イケムラレイコはカハ・デ・ブルゴス芸術センター(CAB)での展示作品を通じて、ますます息苦しくなりつつある社会への注意喚起の声を上げています。作品は彼女の人格を映し出すような穏やかさをたたえながらも、鑑賞者に物語を謎めいた幻想的なものとするのか、逆に現実の領域にとどめておくのかという選択を迫ります。

1972年からヨーロッパに在住しているイケムラレイコ(三重県津市出身)は、現代のアートにおいて最も重要なアーティストの一人とされています。彼女は80年代から有名な美術館やアートセンターでの展覧会に精力的に出展してきました。彼女の最近の展覧会で大きな影響力のあるものからは、2006年にノイエ・ナショナルギャラリー(ベルリン)で開催された展覧会と2019年に国立新美術館(東京)とバーゼル美術館(スイス)で開催された展覧会が挙げられるでしょう。2008年にはホーホザウアーラント郡のアウグスト・マッケ賞を受賞し、2001年にはドイツの批評家協会からも認められています。今回の展覧会はスペインの芸術センターでは初となります。

イケムラレイコのCABでの展覧会はKewenig Galleryの協力のもと行われています。

製作:Fundación Caja de Burgos CAB
キュレーター:ハビエル・デル・カンポ
作品のコンセプトと選定:イケムラレイコ、ハビエル・デル・カンポ
協力:Kewenig Gallery

 

出典:
Leiko Ikemura at Centro de Arte Caja de Burgos CAB
Centro de Arte Caja de Burgos CAB

 

Centro de Arte Caja de Burgos CAB
(カハ・デ・ブルゴス芸術センター)
Calle Saldaña, S/N,
09003 Burgos
España
+34 947 25 65 50