本当のことは光のなかに現れます。教会は光を内側へと集める光の空間であり、光のうつわです。ベルリン在住の美術家イケムラレイコは、聖マテウス教会の窓を大型の空間ドローイングとして形づくることで光を変容させます。光と色の絵画、その部分部分は教会の祭壇を越え、光のプロジェクションの中に流れるようです。イケムラレイコはそれらを聖マテウス教会の破壊の歴史と結び付けています。教会が基礎部分を残して破壊しつくされたのは第二次世界大戦も末期のころ。それまでに使われていた色とりどりの窓は再建の際に透過ガラスの窓に入れ替えられました。戦後75年が経過し、現代風の窓は教会の空間にとってどんなふうに見えることでしょうか? 歴史と現代を、教会の光の空間のなかにどのように関連させればよいでしょうか? 回復は可能なのでしょうか? これらの窓が作り出す光影のなかで、イケムラレイコの塑像「叫び」と「メメント・モリ」は教会の空間のなかに今も残る奇跡を思い起こさせます―それは、光がひとつの希望として残ったということなのです。
St. Matthäus-Kirche(聖マテウス教会)
Matthäikirchplatz
10785 Berlin
開館時間:火曜~日曜 午前11時~午後6時
Stiftung St. Matthäus
Kulturstiftung der Evangelischen Kirche
Berlin-Brandenburg-schlesische Oberlausitz
聖マテウス財団
プロテスタント教会文化財団
ベルリン・ブランデンブルク・シレジア オーバーラウジッツ