イケムラレイコ 静寂礼賛

Source of the picture: Ludes Stiftung – Villa Jacobs Park / Work: White Sleep, 2010, ceramic, 15 x 27 x 18 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2023.

オープニング:2023年5月14日、午後4時
アーティストトーク:イケムラレイコとマルティナ・ゲデック
司会:リザ・ツァイツ博士(『ヴェルトクンスト(Weltkunst)』誌編集長)

ベルリンを拠点に活動するアーティスト、イケムラレイコは、ペーター・ヨーゼフ・レンネが設計したヴィラ・ヤコブスのランドスケープ・ガーデンにあわせた新たな個展を行います。彼女が作りだすのは目に見えないものたちがまどろむあわいの世界です。イケムラの作品では人間、動物、植物が分かちがたく結びついた、自然本来の空間が形而上学的に表現されています。彼女の彫刻作品がユングフェルンゼー湖畔の地形と自然のなかに溶け込んでいるさまはヴィラ・ヤコブス庭園の他には見られないものでしょう。

本展のロケーションのために選ばれた作品はイケムラ作品の中心的なテーマを反映したものです。それらの人物像は生命の起源とはかなさを等しく表現しています。ときにアルカイックにも見えるこれらの作品は、自然がこれからどうなっていくのかという不安と、われわれの生活空間が脅かされているという懸念から生まれたものです。

さまざまな大型彫刻が展示されていますが、イケムラ作品のなかでも特徴的かつ代表的なモチーフである少女が、横たわった姿や断片的な姿で見られます。それらのフォルムは繊細で傷つきやすく未完成のように見えながらも、強い存在感を放っています。この人物像が抱く静かで内省的な世界が示すのは、夢と現実、生と死、人と自然がまじりあうという、イケムラ作品のもうひとつのモチーフです。

本展のハイライトは、ユングフェルンゼー湖の水面越しに見える巨大な作品「うさぎ観音」です。「Usagi」とは日本語で「うさぎ」のことです。日本の伝統ではうさぎは幸運を運ぶ豊穣のシンボルであり、ハイブリッドな架空の生物としてイケムラの作品でも重要な役割を担っています。彼女の「うさぎ」は、保護、平穏、力を体現しています。同時に、すべての生き物が互いに調和して存在する世界というイケムラのビジョンも表現しています。そのためこの静寂をたたえたうさぎは、瞑想を誘うようなつくりの本庭園にもほとんど違和感なく溶け込んでいます。湖をはさんでグリーニッケ橋まで続く視線の先に、金色に光り輝くこの作品がポツダムの文化的景観の一部として、遠くからでも目に飛び込んできます。

ガラスの彫刻と紙作品を旧機械室にて展示
庭園をいろどるイケムラ作品にくわえて、旧機械室ではガラス彫刻や紙に描かれた初期作品のほか、本展のために制作されたエディションも展示されます。また、新設されたオランジュリーも初めて展示スペースとして使用され、イケムラの写真シリーズ作品「Flowers」が展示されます。

開館日時:毎週日曜日 午前11時~午後5時
ガイドツアー:午前11時~午後2時
本展オーディオガイドをぜひご利用ください(ナレーション:マルティナ・ゲデック)

出典:ヴィラ・ヤコブス - 財団ヴィラ・ヤコブス - 催し



Ludes Stiftung – Villa Jacobs Park
(ルーデス財団 ヴィラ・ヤコブス庭園)
Bertiniweg 2
14469 Potsdam

tel. +49 (0)331-2014760
info@remove.me @villa-jacobs.de
https://www.villa-jacobs.de/