イケムラレイコ 水平線にある光

Horizon, 2016, tempera on canvas. 100 x 120 cm. © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2024.

水平線の彼方、手の届かない新しい世界。
イケムラレイコ個展「水平線にある光」が開催されます。
- 水平線はイケムラレイコの主要なモチーフとなっています。
- 過去10年間の作品を中心にイケムラレイコの現在を映し出す展覧会です。

大田(テジョン)を代表する複合文化施設HEREDIUM(ヘレディアム)は、2024年4月3日から8月4日まで、イケムラレイコが韓国内の美術館で行う個展としては初となる《水平線にある光 (Light on the Horizon) 》を開催いたします。本展は新表現主義の巨匠アンゼルム・キーファー(1945年生)についで、HEREDIUMによる現代美術の個展の第二回目です。

イケムラレイコは国際的に著名な現代美術家です。日本で生まれ、スペインで美術を学び、スイスで美術家のキャリアをスタートさせました。現在はドイツに在住し活動しています。異なる文化を取り入れてきた生き方が示すとおり、異なる分野を融合して新たなイメージ世界を創造する、独自の魅力を持った作家です。

本展が紹介するのは「水平線」、イケムラレイコにとっての重要な芸術モチーフです。海辺で育った彼女にとって「海」はなじみ深い場所でしたが、ある日東海線の電車に揺られて見た景色は、それまでに見たことのない新しく鮮烈なものでした。

まるで始まりの記憶のようなその日の体験は彼女に爪あとを残し、忘れられないものとなりました。水平線の向こうに広がる新しい世界を想像すること、それこそがイケムラレイコの芸術の源泉となったのです。

HEREDIUMは「水平線にある光」にスポットライトを当てることで、イケムラレイコとともに「見えるものから見えないものを想像する」体験を提供します。

本展で展示される絵画のセレクションには、<Before Thunder & After Dark>(2014/17年)や<Sinus Spring>(2018年)などの「コズミック・スケープ」が含まれています。2010年代に描かれた、東洋のアニミズム的な世界観を表現した大型の風景画です。広大無辺な背景や人間と動物の境界を越える造形が表現しているのは、知覚可能な世界を超えた存在の内面に広がる世界です。その内的世界はネトルやジュートといった自然素材を土台に多様な色彩で繊細に描き出され、色彩の粒子の広がりがかたちとなって感じられます。過去に行われたアンゼルム・キーファーの展覧会タイトルが「秋」、そして今展のこのシリーズは「春」を象徴するものとなっています。

本展では<うさぎ観音 (340)>(2012/24年)も展示します。この作品は仏教とキリスト教のイコノグラフィーをミックスし、動物と人間の両側面を統合した姿を持っています。2011年3月の大震災時に起こった原発漏えい事故により、先天性な欠損のあるうさぎが生まれているという記事から着想を得て制作されたものです。うさぎの耳を持つ泣き顔というハイブリッドな見た目が普遍的な弔意を表すと同時に、創造と破壊のサイクルについての信念を提起し、地球の未来への懸念を語りかける作品となっています。また、この作品はイギリス・ノリッジのセインズベリーセンター彫刻公園、ドイツ・ベルリンのゲオルク・コルベ美術館、スイスのバーゼル美術館など、公共の場や施設でも展示され、注目を集めてきました。

さらに、新たな作風を探求するイケムラレイコが2019年より制作を行っているガラス彫刻のオブジェにもご注目ください。様々な側面から異種なるものの融合を表現したこの作品群は、人間と動物、あるいは動物と自然の交差を体現し、人間と動物が根源的に共存するものであると暗示しています。イケムラは、彫刻のガラスのなかに光が取り込まれるのを見たとき、希望が満ちてくるのを感じたと述べています。

境界を越えて新しいものを提示するイケムラレイコの姿勢とハイブリッド性は、HEREDIUMの独自性にも合致します。HEREDIUMの建物は1922年に建てられた旧東洋開発株式会社を多文化複合施設として復元したものです。近代文化遺産である過去の空間で様々な現代美術と出会うことで、時間と空間の広がりと集中を体験することができる場となっています。本展ではイケムラレイコの過去10年間の最新作を展示し、「現在」との明確な接点を確立します。

イケムラレイコは過去40年にわたり世界29カ国で500以上の個展やグループ展を開催してきました。彼女の作品は、ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)、バーゼル美術館(スイス・バーゼル)、東京国立近代美術館(日本・東京)など、著名な美術館に収蔵されています。

開館日時:水曜日~日曜日、11時~19時
(月曜日・火曜日閉館)

出典:HEREDIUM プレスリリース

 

Heredium Museum
735 Daejeon-ro
Dong-gu, Daejeon (Indong)
South Korea

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