イケムラレイコ メタモルフォーゼ

Aqua, 2007, watercolor on paper, 24 x 32 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2019. / Photo: Jochen Littkemann.

北欧水彩画美術館の2019年アートイヤー最初の展覧会はイケムラレイコの個展です。イケムラレイコは1951年に日本の津で生まれましたが、1970年代からヨーロッパの様々な都市に暮らしてきました。彼女の芸術作品は遊牧民的と言うことができるでしょう。自らの意思で祖国を離れたイケムラレイコは西洋の伝統的な美術を学びました。スペイン、スイス、ドイツで学び、在住してきました。作品は国際的に展示されています。

イケムラレイコの芸術が持つ雰囲気はオディロン・ルドンのシュールレアリスム作品やドイツ表現主義、流行を作り出したルイーズ・ブルジョアの作品を思い起こさせます。しかしイケムラは魔術的な独自のスタイルを見いだしました。夢うつつで詩的で、繊細なメタモルフォーゼに震えているよう。何にもつなぎとめられず、すべての物体が常に何かになる変容の途上のようです。イケムラは次第に自らの根底にある日本的なものに還っていくようになりました。そこでは自然の魂が昼の光と夜の闇に育まれています。彼女の謎に満ちた作品には、見慣れない生き物、動物、植物、鉱物や建物の部分部分が描かれ、絵が現れてくるなかでそれらがお互いに溶け合い、だんだんと姿を変えていきます。大気のように軽やかに描かれた身体が、夢のような自然に満ちた環境のなかで展開し、人間は植物に、植物は動物に、動物は形のない何か抽象的なものに変化していきます。抽象のなかから新しい生命が生まれ、すべてが新しく始まります。日本特有の自然への感覚がインスピレーションとなり、イケムラレイコの芸術世界のなかにこだましています。「変容」は彼女の創造するものすべての焦点となっています。

本展ではイケムラレイコの多岐にわたる魅惑的な絵画作品とともに、水彩画やテンペラ画、陶器彫刻を展示いたします。

 

出典: Nordiska Akvarellmuseet

 

Nordiska Akvarellmuseet(北欧水彩画美術館)
Södra Hamnen 6
471 32 Skärhamn
Sweden

+46 (0)304 60 00 80 
www.akvarellmuseet.org/en