イケムラレイコ MOMSTARS

Blue Mom, 2023 tempera & oil on jute, 120 × 100 cm © Leiko Ikemura 2024

オープニング:2024年3月15日(金)、18時~20時

コンテンポラリー・ファイン・アーツでは初となるイケムラレイコの個展「MOMSTARS」を開催します。本展はイケムラレイコの最新作から1980年代の作品までギャラリーの2フロアにわたって展示します。この展覧会はイケムラが取り組んできたテーマと制作スタイルがいかに幅広いものであるかを明らかにし、一貫して続けられてきた作品制作に光を当てることで、彼女の芸術的実践を総合的に見わたせるものになっています。

「ユニークな人生を歩んできた美術家イケムラレイコ。彼女はつねに歴史が交錯する場に身を置き、日差しを浴びる猫のように正確かつ大胆な観察者としてそこに立ち会ってきた」と、アナエル・ピジェは展覧会カタログに書いています。日本で生まれたイケムラレイコはスペインへ渡り、その後スイス、そしてドイツへと移ってきました。当初はケルンに住み、ベルリンに住むようになったのは1990年代からのことです。それはちょうど、イケムラが長年にわたって作品の中で実現してきた「境界を超える」ことの必要性にベルリンが直面していた時期でした。

イケムラは、自身を取り巻く世界の細やかさといったものを深く掘り下げて探求するだけでなく、美術史的な伝統にも根づいていることが作品にも反映されています。伝統を否定するのではない、伝統の上に築いていかねばならないという彼女の意識は、現代美術シーンのなかでも特別な位置を占めています。ピジェはこうも書いています。「イケムラの作品制作はつねに抽象と具象のあいだにあった。自然を観察しつきつめていくと影や振動といったものに至るという考えからである」

イケムラは絵画、ドローイング、彫刻において「相反するもの」を追求しています。それはわたしたちが世界とアイデンティティを認識する際に現れる、存在と不在、か弱さと力、光と影、自然と文化といった相互作用を持つものです。イケムラがジャンルを超えて生み出したハイブリッドな生きものたちは、これら相反するものの境界をあいまいなものにしてしまいます。西洋と東洋、双方の芸術の伝統から生まれ出ながらも、自由な創造の前ではそれらを区別することすら時代遅れになってしまうのです。

ハイブリッドな生きものや子供と大人のはざまにある少女を描いたイケムラ作品では、どのような先入観や定義も等しくくつがえされます。「ロケットガール1+2」は謙虚さと生意気さの両方を感じさせると同時に、誰しもが抱えている葛藤に道を開き、かたちを与える作品となっています。「イケムラレイコにとって彫刻とは、何よりもまず『虚』にかたちを与えることなのだ。破壊する者であると同時に慈しむ者でもあるこれらの人物は、それぞれロケットを背負っている――それがトカゲや男根を模したもの、小型飛行機でなければだが」とピジェは推測するように述べています。

現実と神話のあわいに存在する生きものたちの魅力によって、イケムラの作品はこことは別の世界にいるかのような雰囲気をまといます。これらの生きものたちはわたしたちの目を奪うことを楽しみ、わたしたちを挑発し、そしておそらくわたしたちが注目することに少しいらだっているようです。母親のすがたをした人物はこの不安定な立場を表す完璧なメタファーとなるでしょう。子どもの目、あるいはみずからの目にスターからモンスターとして映るようになるには、いったいどれだけかかるのでしょうか。

展覧会カタログ「イケムラレイコ MOMSTARS」(ISBN: 978-3-86442-435-9)


出典:CFA ベルリン

 

 

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