イケムラレイコ 波に乗って

© Tim Van Laere Gallery, Antwerp, Belgium, 2022.

ティム・ファン・ラエレ・ギャラリーでは日本・スイス人アーティストイケムラレイコの個展「波に乗って(Riding the Waves)」を開催いたします。本展では代表作にくわえ新作を展示するほか、ブロンズ、陶器、ガラスを用いた彫刻とペインティングを展示いたします。

イケムラレイコは国際的に地位を確立している有名な日本・スイス人美術家で、ベルリンを拠点にしています。三重県津市出身のイケムラは、スペインのセビリアで絵画を学んだ後スイスへ移住、その後ドイツに移りました。彼女は東洋と西洋の芸術を融合させ、ハイブリッド、異文化、セクシュアリティ、ライフサイクルといったテーマを探求しています。メディアとメディアのあいだを流動的に転換しながら抽象と具象が交差するような作品づくりを行い、作品にむきだしのエネルギーと感情を吹き込んでいます。種と種や内界と外界の境はぼやけ、見る者はイケムラがつむぐ物語のなかに謎を見出し、幻想へと転換させるのか、反対に現実のうちにとどめるのかを迫られます。用いられている素材はブロンズ、粘土、顔料といった地球と密接に関係したもので、人間も自然の一部なのだという観点が強調されています。

展覧会のタイトルとなっている「波に乗って(Riding the Waves)」は、美術家が持つ変容というものへの興味にもとづくものです。波は運動と変容の象徴であり、海中のエネルギーが動きとなって現れたものです。イケムラによれば、「生き物はすべて宇宙の一部であり、そのエネルギーは波のように感じられる」ものなのです。展示はこの言葉を強調するようなものとなっており、海の波がうねるようなをかたちの大きな台の上にイケムラが生み出したさまざまな生き物が置かれています。展示デザインを担当したのは建築家のフィリップ・フォン・マットであり、イケムラの彫刻作品を遊び心たっぷりに見せることに大きく貢献しています。すべての絵画と彫刻はつながりあい、女性像、風景、そしてそこに生息する動物など、自然界が見せる側面に焦点を当てています。

架空の生き物のなかで、うさぎはイケムラが用いるモチーフのなかでも最も有名で頻繁にとりあげられているもののひとつです。うさぎは様々な文化圏で豊穣と再生を象徴する動物とされています。イケムラの大型ブロンズ像「うさぎグリーティング」(または「うさぎ観音」)は、見る者を大きく広がった衣の中へ隠れるようにと誘います。この作品はさまざまに連想することの可能性を与えてくれ、そして慈悲と希望のハイブリッドの存在として、意味を求める人々には曖昧なままでいていいのだと伝えてくれているのです。

イケムラの作品は東京ビエンナーレ(1988年)、メルボルン・ビエンナーレ(1999年)で展示されました。また、セインズベリー視覚芸術センター(ノリッジ、2021年)、バレンシア芸術科学都市(2021年)、リヒテンシュタイン美術館(2002年)、国立近代美術館(東京、2011年)、バーゼル美術館(2019年)等で個展を開催しています。また、ポンピドゥー・センター(パリ、フランス)、ルートヴィヒ美術館(ケルン、ドイツ)、バーゼル美術館(バーゼル、スイス)、カハ・デ・ブルゴス芸術基金センター(スペイン)、国立新美術館(東京)、国立近代美術館(東京)MAC's現代美術館(グラン・オルニュ、ベルギー)、セインズベリー視覚芸術センター(ノリッジ、イギリス)、アーレンスホープ美術館(アーレンスホープ、ドイツ)、ネヴァダ美術館(リノ、アメリカ)、ケルン東洋美術館(ケルン、ドイツ)、新美術館(ニュルンベルク、ドイツ)、リヒテンシュタイン美術館(ファドゥーツ、リヒテンシュタイン)等で作品を見ることができます。

出典:ティム・ファン・ラエレ・ギャラリー

 

Tim Van Laere Gallery(ティム・ファン・ラエレ・ギャラリー)
Jos Smolderenstraat 50, 2000 Antwerp, Belgium
info@timvanlaeregallery.com
+32 3 257 14 17

火曜日~土曜日:午後1時~6時
日曜日・祝日休館
予約不要