憧憬・第2回 ― ミヒャエル・ホルバッハの写真コレクションより

Flower, 2009, black and white photography on baryta paper, 78 x 51 cm, collection Michael Horbach Stiftung © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2020.

出展作家:Dirk Alvermann, Rodney Batista, Sà Bauer, Pep Bonet, Eduard Boubat, Josef Breitenbach, René Burri, Raúl Cañibano, Juan Carlo, Moreira Cirenaica, Raúl Corrales, Sven Creutzmann, Bela Doka, Jiri Dokoupil, Leonard Freed, Miquel Frontera, Flor Garduño, Frank Gaudlitz, Karl Haimel, Fritz Henle, Thomas Höpker, イケムラレイコ, Arno Jansen, Clemens Kalischer, Thomas Karsten, Bernice Koko, Alberto Korda, Benedicte Kurzen, Marie-Jo Lafontaine, Herbert List, Cristina Piza Lopez, Lucana, Olaf Martens, Martin Munkácsi, Helmut Newton, Mihrican Özdem, Manfred Paul, Beat Presser, Bettina Rheims, Roger Richter, Batista Rodney, Franz Roh, Willy Ronis, Ernestine Ruben, Alfredo Sarabia Jr., Christian Staub, Jock Sturges, Miquel Vidal, Kim Weston, Holger Winkler, Marianne Yampolsky, Marcos Zimmermann, Maria Zorzon 

 

10年に渡って運営されてきたアートスペースおよび設立20年を迎えるミヒャエル・ホルバッハ財団は、対外的な機会として2020年11月25日から、ケルンに拠点を置く寄贈者であり芸術の後援者でもあったミヒャエル・ホルバッハの写真コレクションを包括的に見ることができる展覧会を開催します。2017年にはミュンヘンを拠点とする写真史家でキュレーターのハンス=ミヒャエル・ケッツレが「憧憬」というタイトルのもと写真コレクションからセレクトを行い、ミヒャエル・ホルバッハ財団のアートスペースで展示を行う機会を得ました。今、彼は2度目の「carte blanche」を得て、つまり広範なコレクションを異なった広い視野で見ることができるよう、展覧会について一任されています。2017年はラテンアメリカ、特にキューバ、メキシコ、アルゼンチンの写真に焦点を当てていましたが、今回はマイケル・ホルバッハのあらゆる面でのコレクションへの情熱がテーマとなっています。詳しく言うならば、ミヒャエル・ホルバッハを魅了していたテーマ領域が3つあり、それらのジャンルは秩序をもって重なり合ったり、互いの意味あいを補完しあったりしています。ヌードやエロティシズム、ポートレート、ラテンアメリカの写真、これらがミヒャエル・ホルバッハの写真コレクションの主要なポイントと定義できるでしょう。一見するとばらばらに見えるものも、実はコレクターの独特の視点によってまとめられています。現在の流行を追うのではなく自らの直感と感覚にもとづき、何よりも流行を超えたところにあるクオリティーを調和のとれたかたちで見きわめていたのです。 

ミヒャエル・ホルバッハのコレクションを通して見ると驚きの連続です。彼がコレクターとして特別な存在であり、彼のコレクションが唯一無二である所以はここにあります。くわえてミヒャエル・ホルバッハの多様な活動の指針となっていたのは彼の政治的倫理観でした。興味の対象は人間であるとホルバッハは述べています。「人間と、人間が生きている、あるいは生きてゆかねばならない社会的条件。逆に言えば、人間である美しさのなかにいる人間。私を導いてくれるのはネオヒューマニズム的な世界観であり、正義と人間性への憧憬なのだ」と。      

このように方向づけられてきた観点に沿って、人間であることと人間性について根本的な問いが投げかけられています。総合すると、購入・コレクション・仲介・支援といったミヒャエル・ホルバッハの活動は、アートへの関心と政治的使命、写真への愛情、世界で起こっている出来事への批判的な見かたのあいだに位置するプロジェクトとなっていきました。全ては「公正な世界は実現可能だ」という根本をなす思想にのっとっています。ケルンのミヒャエル・ホルバッハ財団で行う本展では有名無名を問わず世界各地から参加した作家による約150点の作品を展示します。Raúl Cañibano、Sven Creutzmann、Bela Doka、Miquel Frontera、Frank Gaudlitz、Flor Garduño、Thomas Karsten、Lucana、Olaf Martens、Beat Presser、Alfredo Sarabia Jr.、Jock Sturges、Miquel Vidal、Marcos Zimmermann他が出展します。

ミヒャエル・ホルバッハ財団(Wormser Straße 23, 50677 ケルン)内アートスペースでの展覧会「Sehnsucht 02(憧憬・第2回)」は、現行の衛生規則を遵守し、2020年11月25日(水)にオープン、2021年2月26日(金)まで行われます。展覧会に合わせて、ハンス=ミヒャエル・ケッツレのコンセプトおよびクリスティアーネ・ラウエルト(ミュンヘン)のデザインによる、40ページに及ぶ豊富なイラスト入りの新聞型の出版物が刊行されます。コレクター・寄贈者・芸術後援者であったミヒャエル・ホルバッハへの詳細なインタビューが掲載されています。この新聞は無料で、アートスペースのほか一部美術館や書店でも入手可能です。

文・キュレーション:ハンス=ミヒャエル・ケッツレ

 

出典: Michael Horbach Stiftung

Michael Horbach Stiftung KUNSTRÄUME

Austellung Sehnsucht 02

Mensch Maus… ! Der Blog für die Freiheit der Künste


KUNSTRÄUME der Michael Horbach Stiftung(ミヒャエル・ホルバッハ財団アートスペース)
Wormser Straße 23 (Hinterhof)
50677 Köln