コレクションによる特別展示・春をまちわびて 美術から考える自然との調和(=エコロジー)

Waterfall, 1990, acrylic on canvas, 115,7 x 94,5 cm, © Leiko Ikemura and VG Bildkunst, 2022.

今回の展覧会は、「エコロジー」がテーマです。エコロジーとは、もとは生態学を指す言葉です。今から60年前の1962年、アメリカの海洋生物学者レイチェル・カーソン(1907-1964)が環境汚染に警鐘を鳴らした著作『沈黙の春』を発表したことをきっかけに世界各地で環境保全運動が急速に拡大し、以来、エコロジーという言葉は自然や環境との調和を意味するものとして広く使われるようになりました。

それから半世紀が経過した今、地球温暖化による気候変動、放射能による汚染、未知のウイルスによる脅威など、私たちを取り巻く状況は深刻さを増しています。美術館で美術作品を鑑賞することが、地球上で起こるいくつもの問題を直接解決するわけではありません。しかし、時代や地域を越えて守られてきた作品との出会いは、自分とは違う「他」を思い、想像を巡らせ、いま自分にできることを見直す大きなきっかけとなるはずです。

本展では当館が所蔵するコレクションの中から自然や環境と向き合い制作された作品約70点を紹介し、今いる場所からエコロジーについて一緒に考えたいと思います。そして本展が、持続可能な未来に向かってともに歩むための第一歩となることを期待します。

出展作家:秋岡美帆、浅井忠、跡見泰、イケムラレイコ、上田敏、魚住誠一、牛島憲之、梅原龍三郎、海老原喜之助、岡野栄、奥瀬英三、鹿子木孟郎、蒲原有明、岸田劉生、北川民次、木下杢太郎、久米桂一郎、黒田清輝、黒田頼綱、浩々歌客、児島善三郎、小島烏水、小清水漸、小林研三、小林鍾吉、佐藤昌胤、ホセ・マリア・シシリア、薄田泣菫、須田國太郎、須藤南翠、染谷亜里可、高安月郊、鳥海青児、中澤弘光、中谷ミチコ、中谷泰、如是法師、カミーユ・ピサロ、アントニオ・フォンタネージ、藤島武二、ピエール・ボナール、アリスティード・マイヨール、牧野虎雄、三宅克己、クロード・モネ、安井曾太郎、山本鼎、山本森之助、与謝野晶子、吉井勇、萬鐵五郎、和田英作

出品リスト

出典:三重県立美術館

 

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