サンセット/サンライズ

Lying on Black, 1998/99, oil on canvas, 80 x 150 cm © Leiko Ikemura and VG Bildkunst, 2022.

「サンセット(日没、夕暮れ)」と「サンライズ(日の出、夜明け)」。

それは、毎日、誰にでも、平等におとずれる美しい自然現象です。生きとし生けるものはすべて、この宇宙に流れる悠久のリズムに寄り添いながら生きています。

「サンセット/サンライズ」の豊かさは、眠りと目覚め、終わりと始まり、死と生、闇と光など、さまざまな象徴や解釈の可能性を差し出してくれるところにあります。こうした、生きる人間の儚さと強さ、相反する価値観やそのあわいなどをも表す意味の広がりは、まさしく芸術家たちの創造の問いかけと重なりあうものです。

また、日没と日の出の前後に現れる薄明の神秘的な時間帯は「マジックアワー」とも呼ばれています。心が揺さぶられる魔術のような光景に立ち会う経験は、思いもかけない美術作品との出会いにどこか似ているともいえるでしょう。

本展は、こうした「サンセット/サンライズ」から派生する多様なイメージを手がかりに、豊田市美術館のコレクションを紹介する試みです。さらに招待作家として、愛知県にゆかりのある小林孝亘氏を迎え、静けさと強い存在感をもつその数々の作品を案内役に展覧会を構成します。

美術館で心が揺さぶられる豊かなマジックアワーをお楽しみください。

 

出展作家:荒木経惟、アルマン、イケムラレイコ、狗巻賢二、榎倉康二、ローマン・オパルカ、加藤泉、ソフィ・カル、川内倫子、河原温、ライアン・ガンダー、北山善夫、城戸保、草間彌生、イヴ・クライン、クリスト、グスタフ・クリムト、マックス・クリンガー、オスカー・ココシュカ、小林孝亘、斎藤義重、エゴン・シーレ、篠原有司男、白髪一雄、杉本博司、高松次郎、田中敦子、田中信行、サルバドール・ダリ、イヴ・タンギー、徳岡神泉、奈良美智、浜田知明、久門剛史、ルーチョ・フォンターナ、福田美蘭、福永恵美、アルベルト・ブッリ、コンスタンティン・ブランクーシ、フランシス・ベーコン、ペーター・ベーレンス、アリギエロ・ボエッティ、クリスチャン・ボルタンスキー、丸山直文、ピエロ・マンゾーニ、村上友晴、村瀬恭子、元永定正、森千裕、森村泰昌、山本糾、ギュンター・ユッカー、横山奈美、吉原治良、ヴォルフガング・ライプ、李禹煥

 

出典:豊田市美術館ギャラリーガイドBRUTUS

 

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