ワード・スクリプト・サイン ― アートのなかのアルファベット

Untitled, 1984, chemogram, ca. 30-41.5 x 20-52.5 cm © Leiko Ikemura and VG Bild-Kunst Bonn, 2023.

「この展覧会では作品が刺激的に並置され、ペーター・ツムトールによる閑散として見えつつも官能的に感じられる空間のなかに卓越した演出がうまく生かされている。本当に驚きだ。というのも、展示作品のほとんどはコロンバが所蔵するコレクションからのものでそろえられ、收蔵後初公開となるからだ。」(トーマス・クリーマン、ゲネラル・アンツァイガー 2023年9月13日より)

言葉と絵のあいだにはどのような関係があるのでしょうか。ひとが自身を取り巻く環境を知っていくとき、両者は互いに競いあう存在となるのでしょうか。それとも、美術史は言葉と絵は相互作用のなかにあるのだという例を示してはくれないでしょうか。今回の通年展示のテーマは「ワード・スクリプト・サイン」です。言葉が消えてしまわないよう言葉は文字と結びつきますが、文字はドローイングを直線的にしたものであり、それ自体が記号だと言えるでしょう。いったいどの段階でドローイングは記号と呼ばれるものになるのでしょう。また、それがあいまいであるということについてはどうでしょうか。記号が理解できるものであるためには地域性や時代が関係してくる文化的な共通認識にどれほど縛られているのでしょうか。実際の行動が言葉と一致しないとき、誤用された言葉はどうなるのでしょう。そして現在にいたるまで、言葉、特に記号は権力欲とどれほど結びついてきたのでしょうか。何世紀にもわたる作品を通じて、コロンバのコレクションはこれらの問いを再考する材料となるでしょう――言葉では説明しきれないコンテクストが存在することにこそ自らのリアリティを見出す芸術によって。展覧会で芸術のアルファベットを目に見えるかたちにするというのはなかなか要求水準の高いものです。私たちはそれらを念頭に置きつつも、コレクションを自由な気持ちでAからZまで綴ってみました。作品と造形のコレクションから選んだ今回のアルファベットはホワイエで遊び心たっぷりにスタートします。

展示作品は4世紀から21世紀までのものを含み、オレンジ絞り器から魔法の杖、コプト派の布から機械化された彫刻、映像から中世の木製パネル画にまでおよびます。

コロンバ展覧会ページドイツ語版より日本語訳

出展作家:Birgit Antoni, Monika Bartholomé, Kurt Benning, Anna Blume, Louise Bourgeois, Felix Droese, Terry Fox, Marta Hegemann, Rebecca Horn, Bethan Huws, イケムラレイコ, Buket Isgören, Hans Josephsohn, Leonhard Kern, Konrad Klaphek, Robert Klümpen, Jannis Kounellis, Dieter Krieg, Susanne Kümpel, Stefan Lochner, Reinhard Matz, Bärbel Messmann, Rune Mields, Chris Newman, Marcel Odenbach, Thomas Rentmeister, Raymond Roussel, Lothar Schreyer, Richard Serra, Manos Tsangaris, Andy Warhol, Dorothee von Windheim, ハレ・ギービッヒェンシュタイン城芸術大学の学生

正午より午後5時まで
火曜日閉館

出典:コロンバ

 

KOLUMBA - Art museum of the Archdiocese of Cologne
Kolumbastraße 4
50667 Köln

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